※筆者プロフィール:AGA治療1年目/地方の対面AGAクリニックに通院中の30代会社員です。医療従事者ではありません。ここに書くのは、治療中の生活で私が「寝る時間」だけを変えた経緯と、続けるためにやったことの記録です。睡眠が薄毛に効くという話ではなく、効果を約束するものでもありません。治療の判断は必ず医師にご相談ください。

治療を始めてしばらく経ったころ、診察の終わりに医師からこう言われました。

生活で何か変えるなら、ひとつだけにしておいた方がいいですよ

私は「全部やります」と言いかけて、止まりました。食事、運動、頭皮のケア、睡眠。やるべきとされることは山ほどあって、全部やろうとした結果、セルフケアの記事に書いたとおり、疲れて何も続かなかった経験があったからです。

この記事では、私が「ひとつだけ」に選んだ寝る時間について、なぜそれを選んだのか、どう決めたのか、1年でどう変わったのかを書きます。睡眠が髪にどう影響するかという話はしません。それは私が語る立場にありません。書くのは、治療を続けるための土台として、寝る時間がどう役に立ったかだけです。

最初に:睡眠と髪の関係については書かない

「睡眠不足は薄毛の原因」「何時までに寝ると良い」といった話は、検索すると無数に出てきます。私はそれを読んで、当時かなり振り回されました。

この記事では、その手の話には一切触れません。理由は2つあります。ひとつは、私にはその真偽を判断する知識がないこと。もうひとつは、寝る時間を決めた理由が、髪のためではなかったことです。私が寝る時間を決めたのは、治療を続ける自分の気持ちを安定させるためでした。

なぜ「寝る時間」を選んだのか

医師の「ひとつだけ」を持ち帰って、私は候補を紙に書き出しました。食事の見直し、運動、頭皮のマッサージ、シャンプーの変更、睡眠。経理の仕事で、複数の案から一つ選ぶときにやる「基準を先に決める」やり方で、3つの基準を置きました。

  • お金がかからない:治療費が毎月出ていく中で、支出を増やしたくない
  • 効いたかどうかを自分で判定しなくていい:判定しようとすると、鏡を見る回数が増えて疲れる
  • 治療とは無関係に、やって損がない:仮に髪と関係がなくても、生活が良くなるもの

この3つを全部満たしたのが、寝る時間でした。費用ゼロ。効いたかを髪で判定する必要がない(寝た時間は記録すれば分かる)。そして、髪と関係があろうがなかろうが、寝不足が減って損はない。

食事と運動も候補でしたが、どちらも「効いたか」を髪で見たくなりそうだったのでやめました。シャンプーは別の記事に書いたとおり、すでに期待するのをやめていました。

どう決めたか:起きる時間から逆算した

「早く寝る」と決めても続きません。私が決めたのは、寝る時刻を1つに固定することでした。

決め方は単純で、平日の起きる時間から逆算しました。出勤に必要な起床時刻があり、そこから自分が「これだけ寝れば翌日の午前中に眠くならない」と分かっている時間を引く。出てきた時刻を、平日の寝る時刻にしました。何時かは人によって違うので、ここでは書きません。大事なのは時刻を決めたことであって、時刻そのものではないからです。

決めた時刻に「寝る」のではなく「布団に入る」

これは続けるうえで効いた工夫です。「何時に寝る」と決めると、寝つけない日に失敗した気分になります。だから、目標を「その時刻に布団に入って部屋を暗くする」に変えました。眠れるかどうかは結果で、布団に入るかどうかは行動。自分で制御できるのは行動だけなので、目標は行動の側に置きました。

スマートフォンは寝室に持ち込まない

布団に入っても、画面を見ていれば時刻を決めた意味がありません。私はスマートフォンを別の部屋で充電することにしました。これは治療のためというより、シャンプーの記事にも書いた「夜に検索して夜更かしする」癖を断つためでもありました。治療について調べたくなるのは、たいてい夜です。

1年続けて起きたこと

事実と感情を分けて書きます。

起きたこと:平日の寝る時刻は、1年のうち8割ほどの日で守れました。守れなかった日は、残業、飲み会、子どもの体調不良が理由で、記録に残しています。朝の眠気は明らかに減り、午前中の仕事の集中が変わりました。

感じたこと:いちばん大きかったのは、「治療のために何かをしている」という感覚が、鏡を見なくても持てたことです。髪の変化は自分では判定できませんが、寝る時刻を守った日は記録に残る。積み上がっていく記録が、通院を続ける気持ちを支えてくれました。

髪がどうなったかは、ここでは書きません。それは診察で写真と一緒に確認する話で、寝る時間と結びつけて語るべきことでもないからです。

記録の付け方:カレンダーに丸を書くだけ

記録は、紙のカレンダーに丸を書くだけにしました。冷蔵庫の横に貼ってある、家族の予定を書き込むのと同じカレンダーです。決めた時刻に布団に入れた日は丸、入れなかった日は理由を一言。アプリは使いません。

理由は、記録の手間が増えると記録そのものをやめてしまうからです。経理で言えば、帳簿の科目を細かくしすぎると入力が続かないのと同じで、続く粒度まで粗くしました。月末にカレンダーを見ると、丸の数がそのまま「今月の自分」になります。丸が多い月は仕事が落ち着いていた月、少ない月は何かがあった月。髪の話とは関係なく、自分の生活の記録として役に立っています。

家族との調整

寝る時刻を固定すると、家の中の時間の使い方が変わります。私は妻に「平日はこの時刻に寝るようにする」と先に伝えました。治療のことは誰に話すかの記事に書いたとおり妻には話してあったので、理由も含めて説明できています。

子どもの寝かしつけや家事の分担は、この時刻を軸に組み直しました。結果的に、夜に家事が残っていても翌朝に回す、という切り替えができるようになり、家の中の「夜更かし」は全体として減っています。私ひとりの習慣のつもりが、家族の生活のリズムにも影響していた。これは決めてから気づいたことです。

朝の時間が生まれた

寝る時刻を固定して数か月経つと、決めた起床時刻より少し早く目が覚める日が増えました。生まれた時間は、通勤前の20分ほど。私はこの時間を、その日の予定を紙に書き出すことに使っています。

予定を書き出すと言っても、大したことはしていません。その日にやることを3つまで書き、終わったら線を引く。それだけです。夜に考えていたときは、翌日のことを思い浮かべるほど眠れなくなっていたので、考える場所を朝に移した形です。

この20分があるかないかで、午前中の仕事の入り方が違います。治療とは無関係の、ただの生活の改善です。でも、「治療のために始めたことが、治療と関係ないところで役に立った」という経験は、続ける理由を一つ増やしてくれました。効いたかどうかを髪で判定しなくても、続ける理由が別にある。これが、ひとつだけを選ぶときの基準に「関係がなくても損がない」を入れた意味でした。

守れなかった日の扱い方

続けるうえで、守れた日より守れなかった日の扱いの方が大事でした。ここを決めていなかった最初の1か月は、崩れるたびに気持ちまで崩れていました。

最初のころは、守れなかった日に「もう意味がない」と全部やめたくなりました。経理で言えば、予算を1か月超過しただけで年間の計画を捨てるようなものです。そこで、ルールを2つ足しました。

  • 守れなかった日は、理由だけ書く。反省は書かない。理由が分かれば対策は立つし、分からなければ仕方ない
  • 翌日は普通に戻す。前日の分を取り返そうとして早く寝すぎると、今度はそれが崩れる

この2つで、「1日崩れても翌日から続く」形になりました。1年で8割守れたのは、残りの2割を失敗として扱わなかったからだと思っています。

やらなかったこと

「ひとつだけ」を守るために、あえて手を出さなかったこともあります。

  • 睡眠の質を測る器具やアプリ:数字が出ると、その数字に一喜一憂しそうだったのでやめました。記録は「布団に入った時刻」だけ
  • 寝る前の習慣を増やすこと:ストレッチ、飲み物、香り。どれも良さそうでしたが、増やすと「全部やらないと寝られない」になりそうで、増やしませんでした
  • 休日の時刻を決めること:平日だけにしました。休日まで決めると、家族の予定とぶつかって崩れ、平日まで崩れる気がしたからです

「ひとつだけ」を選んだのに、そのひとつの周りに習慣を足していくと、結局「全部」に戻ります。経理で予算項目を増やしすぎると管理できなくなるのと同じで、項目は少ないほど続きます。

これから「ひとつだけ」を選ぶ人へ

私の選択は寝る時間でしたが、それが正解だという話ではありません。選ぶときの基準だけ、改めて置いておきます。

  1. お金がかからないか
  2. 効いたかどうかを、髪で判定しなくて済むか
  3. 髪と関係がなくても、やって損がないか
  4. 行動として記録できるか(結果ではなく)
  5. 崩れた日の扱いを先に決められるか

5つを満たすものなら、寝る時間でなくても構いません。大事なのは、ひとつに絞ること、行動で記録すること、崩れた日を失敗にしないこと。この3つがあれば、治療の「土台」として機能します。

まとめ

  • 医師の「変えるならひとつだけ」を持ち帰り、基準を決めてから寝る時間を選んだ
  • 基準は、費用ゼロ・髪で判定しなくていい・関係がなくても損がない、の3つ
  • 決めたのは時刻そのものではなく「時刻を固定する」こと。起床から逆算した
  • 目標は「寝る」ではなく「布団に入って暗くする」。制御できる行動の側に置いた
  • スマートフォンを寝室から出したら、夜の検索癖も一緒に消えた
  • 1年で平日の8割守れた。積み上がった記録が、通院の続きを後押しした
  • 守れなかった日は理由だけ書き、翌日は普通に戻す。取り返そうとしない
  • 器具・追加の習慣・休日のルールには手を出さず、「ひとつ」を守った

寝る時間を決めて1年、髪について私が言えることは増えていません。それは診察で確かめる話です。増えたのは、「続けている」と自分に言える材料でした。治療は長い付き合いになります。その長さを支えるのは、大きな決意より、毎晩の小さな行動の記録だったと、今は思っています。

なお、この記事は個人の体験と考え方をまとめたものです。効果や安全性を保証するものではありません。ご自身に合う方法は、必ず医師にご相談ください。

※治療を続ける中で気になることが出てきたとき、通院の合間に相談できる場所があると安心です。オンラインで診療を受けられるクリニックもあります。選択肢のひとつとして比べてみてください。(PR)

レバクリ