※筆者プロフィール:AGA治療1年目/地方の対面AGAクリニックに通院中の30代会社員です。医療従事者ではありません。ここに書くのは、治療を始めてから周りの人にどう見られたか、私がどう受け止めたかの記録です。効果を約束するものではなく、治療の判断は必ず医師にご相談ください。
治療を始めて数か月経ったころ、私の頭の中には、始める前とは違う種類の心配が居座っていました。
治療していること、周りにバレていないだろうか
始める前は「薄くなっているのがバレていないか」を気にしていました。始めてからは「治療していることがバレていないか」に変わった。どちらも同じ「気づかれたくない」なのに、対象が入れ替わったのが自分でも不思議でした。
この記事では、1年のあいだに周りの人から実際に言われた言葉と、そのとき私がどう感じ、どう答えたかを書きます。気づかれたのか、気づかれなかったのか。先に言うと、答えは「気づかれた人もいたし、気づかれなかった人もいた。そしてどちらも、思っていたほど大きな出来事ではなかった」です。
最初に:この記事で扱わないこと
薬の名前や効果、経過の写真は載せません。「変化があったかどうか」は、診察のときに医師と写真で確認する話であって、私が記事で断言する話ではないと考えています。ここに書くのは、周りの反応と、私の気持ちの動きだけです。
最初の数か月:誰にも何も言われなかった
治療を始めて最初の数か月は、周りから何も言われませんでした。当然です。自分でも変化が分からない時期に、他人が気づくはずがない。
ところが私は、この「何も言われない」を、変な方向に受け取っていました。「言われないのは、気を遣われているからではないか」。誰も何も言わないことが、かえって落ち着かなかった。2か月目のころの記事に書いた「鏡を見すぎる時期」と重なっていて、他人の視線まで自分で作り出していたのだと思います。
今振り返れば、この時期は何も起きていなかった。起きていたのは、私の頭の中だけでした。
半年ごろ:妻からの一言
治療を家族に話すかどうかは、誰に話すかの記事に書いたとおり、最初に妻にだけ伝えていました。だから妻は「知っている側」です。
半年ほど経ったある朝、洗面所で妻が言いました。「なんか、ちょっと変わった?」。それだけです。良くなったとも悪くなったとも言わない。
私は「そうかな」とだけ答えました。正直に言えば、その一言は嬉しかった。でも同時に、知っている人の「変わった」は、期待が混じった評価かもしれないとも思いました。だから、その言葉を「効いている証拠」としては受け取らず、「気にかけてくれている印」として受け取ることにしました。効いているかどうかは、写真と医師に任せる。この線引きは、気持ちを安定させるうえで役に立ちました。
知らない人からの、意外な言葉
治療のことを知らない友人から言われた言葉も、いくつかありました。全部覚えています。
「髪切った?」
久しぶりに会った友人に、何度か言われました。実際に切った直後もあれば、切っていないときもあった。切っていないときに言われると、内心「これは気づかれたのか」と身構えましたが、相手はそれ以上何も言いません。「髪切った?」は、たいてい「何か違う気がするけど、何かは分からない」の言い換えだと、あとで気づきました。相手にとっては、それで会話は終わりです。
「なんか雰囲気変わった?」
別の友人には、こう言われました。治療のことは知らない人です。このときは、正直に言うと少し浮かれました。でも同時に、「雰囲気」の理由が髪なのか、服なのか、体重なのか、単なる社交辞令なのかは分からない。他人の言葉から、治療の効果を読み取ろうとするのは、やめた方がいいと、この日に決めました。読み取ろうとすると、褒め言葉も、何も言われないことも、全部が判定材料になって疲れます。
何も言われなかった人たち
いちばん多かったのは、これです。毎日会う職場の人は、1年間ひとりも何も言いませんでした。親も同じです。治療を始める前の私なら「気づいていて黙っているのでは」と考えたと思いますが、1年経った今は、単純に他人は自分の頭をそこまで見ていないのだと分かります。自分が自分の頭を見ている時間と、他人が私の頭を見ている時間は、桁が違います。
飲み会で薄毛の話題が出たとき
治療のことを知らない友人たちとの飲み会で、誰かの薄毛が冗談まじりに話題になったことがありました。よくある場面だと思います。
そのとき私は、笑うでもなく、話に乗るでもなく、黙ってグラスを持っていました。心臓が少し速くなっていたのを覚えています。「次は自分の番か」という感覚です。結局、話題は数十秒で別のことに移り、私に矛先が向くことはありませんでした。
帰り道に考えたのは、あの数十秒を「乗り切った」と感じている自分の方が問題だということでした。周りにとってはただの雑談で、私にとってだけ試験だった。治療を始める前も同じ場面はあったはずなのに、治療を始めてからの方が構えていた。これも「治療しているとバレたくない」が増えた影響でした。今は、その場面が来ても「そういう話もあるよね」と流せる程度には慣れています。慣れたというより、自分だけが試験を受けている感覚が薄れた、と言う方が正確です。
写真に写るとき
集合写真や、子どもの行事の写真。写る側になる場面も、気づかれたくない気持ちが顔を出すところです。私は以前、写真の自分の頭頂部を拡大して確認する癖がありました。治療を始めてしばらくは、この癖が強くなりました。
やめられたきっかけは、診察で撮ってもらっている「経過の写真」の存在です。専門の人が同じ条件で撮った写真が別にあるのだから、行事のスナップ写真の角度や光で一喜一憂する意味がない。そう考えて、写真を拡大するのをやめました。今は、写真は思い出として見る。頭の状態は診察で見る。役割を分けています。
気にしすぎる日にやっていること
1年経っても、周りの目が急に気になる日はあります。寝不足の日、仕事でうまくいかなかった日に多い気がします。そういう日のために、私が決めていることを書いておきます。
- 鏡を見る回数を増やさない:気になる日ほど見たくなるが、見ても答えは出ない。朝の1回で終わりにする
- 帽子で隠す判断をしない:隠すと「隠している」ことが新しい心配になる。普段どおりでいる
- 次の診察日を確認する:判定はそこでする、と思い出すだけで気持ちが落ち着く
- 「今日は気にしすぎの日」と書いておく:記録しておくと、あとで見返して「あの日は寝不足だった」と原因が分かる。原因が分かると、次に同じ日が来ても怖くない
4つ目は経理の習慣そのものです。数字が変なときに「なぜか」を書き残しておくと、次に同じことが起きたときに慌てない。気持ちにも同じことが使えました。
「バレたくない」の中身を分解してみた
半年を過ぎたころ、私は「気づかれたくない」という気持ちを、一度紙に書いて分解してみました。経理の仕事で、漠然とした不安を項目に分けて金額を当てるのと同じ要領です。出てきたのは3つでした。
- 治療していると知られたくない:「気にしている人」だと思われるのが嫌
- 薄くなっていると知られたくない:そもそもの状態を見られたくない
- 効いていないと思われたくない:治療しているのに変わらない、と見られるのが怖い
書き出してみると、3つ目がいちばん重いことに気づきました。1つ目と2つ目は、治療を始める前からあった不安です。3つ目は、治療を始めたから生まれた不安。治療は「気づかれたくない」を減らしたのではなく、種類を増やしていたのです。
ただ、分解したことで対処も見えました。3つ目は「効いているかどうかを他人の目で判定しようとする」から生まれる不安です。判定を医師と写真に任せると決めた時点で、この不安の元は消えます。実際、それ以降、他人の言葉に一喜一憂する回数は目に見えて減りました。
気づかれたとき、私はこう答えると決めている
1年のあいだに、はっきり「治療してるの?」と聞かれたことは、まだありません。でも、聞かれたときの答えは決めてあります。
「うん、病院で見てもらってる」。これだけです。薬の話も、費用の話も、効いているかの話もしない。聞かれたら答えるけれど、自分からは広げない。
この答えを用意しておくと、「聞かれたらどうしよう」という心配そのものが小さくなります。答えが決まっている質問は、怖くありません。初診の流れの記事で書いた「何をされるか分かれば怖くない」と、根っこは同じでした。
気づかれることは、悪いことなのか
最後に、1年経った今の考えを書きます。
治療を始めたころの私は、「気づかれる=失敗」だと思っていました。でも、妻の「ちょっと変わった?」も、友人の「雰囲気変わった?」も、気づかれた側の出来事です。そして、どちらも嫌な経験ではなかった。
嫌だと思っていたのは、「気づかれる」ことではなく、「気づかれて、否定的に見られる」ことでした。そして1年間、否定的な言葉は一度もありませんでした。これは私の周りがたまたま優しかっただけかもしれません。でも少なくとも、「気づかれたら終わり」という前提は、私の場合は間違っていた。それが分かっただけで、通院の帰り道が少し軽くなりました。
まとめ
- 治療を始めると、「薄毛を気づかれたくない」が「治療を気づかれたくない」に置き換わる
- 最初の数か月は誰にも何も言われない。言われないことを深読みしていたのは自分だった
- 知っている人の「変わった?」は、効果の証拠ではなく気遣いの印として受け取る
- 友人の「髪切った?」「雰囲気変わった?」から、効果を読み取ろうとしない
- 周りが私の髪を見ている時間は、私が鏡を見ている時間よりはるかに短い
- 「気づかれたくない」を分解すると、治療で増えた不安は「効いていないと思われたくない」だった
- 効いているかの判定を医師と写真に任せると、他人の言葉に振り回されなくなる
- 聞かれたときの答えを一つ決めておくと、聞かれること自体が怖くなくなる
「バレていないだろうか」と考える時間は、1年でずいぶん減りました。減った理由は、バレなくなったからではなく、バレることを失敗だと思わなくなったからです。この記事が、同じ心配をしている誰かの帰り道を、少し軽くできたら嬉しいです。
なお、この記事は個人の体験と考え方をまとめたものです。効果や安全性を保証するものではありません。ご自身に合う方法は、必ず医師にご相談ください。
※周りの目が気になって対面のクリニックに足を運びにくい方へ。オンラインで診療を受けられるクリニックもあります。誰にも会わずに相談できる選択肢のひとつとして、比べてみてください。(PR)