※筆者プロフィール:AGA治療1年目/地方の対面AGAクリニックに通院中の30代会社員です。医療従事者ではありません。ここに書くのは、受診の前に自分で調べて整理したことの記録です。診断は医師にしかできません。気になる症状があれば必ず医療機関にご相談ください。
治療を考えはじめたころ、鏡の前で毎晩やっていたことがあります。
前髪を上げて、角度を変えて、また下ろす
見ているのに、何を見ればいいのか分かっていませんでした。生え際が気になる日もあれば、つむじのほうが心配になる日もある。そもそも自分が何を疑っているのかが言葉になっていなかったのです。
この記事では、AGAという言葉が何を指しているのか、そして「自分はどのあたりなのか」を考えるための手がかりを整理します。診断の代わりにはなりませんが、受診の前に頭の中を片づける材料にはなるはずです。
AGAという言葉が指しているもの
AGAは男性型脱毛症の略称です。思春期以降の男性に見られる、髪が細く短くなっていく変化を指す呼び方として使われています。
ポイントは、これが「はげ」という見た目の状態そのものではなく、特定の進み方をする脱毛症の名前だという点です。頭の一部だけが円く抜ける脱毛症など、まったく別の分類のものもあります。
私が最初に混乱したのはここでした。薄くなってきた=AGA、と決めつけていたのです。実際には、薄毛に見える状態の背景はひとつではありません。
進み方に特徴があるとされている
一般に、AGAは時間とともに少しずつ進んでいく性質があるとされています。急に一夜で変わるというより、写真を並べてはじめて気づく速さです。
この「気づきにくさ」が、私にとってはいちばん厄介でした。毎日見ている顔なので、変化に慣れてしまいます。
私がつまずいたのは「自分がどれなのか分からない」だった
情報を集めても、進み方の説明はどれも似た言葉で書かれていて、自分に当てはめられませんでした。
「生え際が後退する」と言われても、もともと生え際が高い人はどこからが後退なのか分かりません。「頭頂部が薄くなる」と言われても、自分のつむじは自分では見えません。
つまり、判断に必要な情報が、自分の目からは手に入らない構造になっていました。ここに気づいたことが、行動を変える転機になります。
典型的とされる進み方は、大きく二つの方向
調べていくと、進み方の説明はおおむね二つの方向に整理されています。
一つ目:前のほうから後ろへ下がっていく形
額の両脇が深くなっていき、中央が残るために山のような輪郭になる形です。俗にM字と呼ばれます。
正面から見ると分かりやすい一方、髪型で隠せてしまうため、気づいてからしばらく放置しやすい場所でもあります。私自身、前髪を下ろす髪型に無意識に寄せていた時期がありました。
二つ目:頭のてっぺんから広がっていく形
つむじの周りから地肌が透けはじめ、円く広がっていく形です。鏡では見えないので、他人に指摘されるまで気づかないことがあります。
本人の自覚と周囲から見た印象がいちばんずれやすいのが、この場所だと感じています。
そして、両方が同時に進む形
この二つは択一ではありません。前と上の両方が同時に進み、最終的につながっていく経過も説明されています。
「自分はM字だから頭頂部は大丈夫」とはならない、ということです。私はここを取り違えていて、前ばかり気にしていました。
段階を並べた図の存在を知って、少し楽になった
進み具合を段階で示した分類図があります。ハミルトン・ノーウッド分類と呼ばれるもので、初期から進んだ状態までを図で並べたものです。医療の現場でも、状態を共有する共通の物差しとして使われています。
この図を知って何が変わったかというと、不安の輪郭がはっきりしました。それまでは「どこまで行くのか分からない」という漠然とした恐れでしたが、段階として並んでいるのを見ると、自分がどのあたりにいるのかを考えられるようになります。
ただし、自分で図と見比べて番号を決めることに意味があるとは思いません。あくまで、医師と話すときに言葉が通じやすくなる道具という位置づけで見ています。
受診の前に、私がやっておいたこと
診断はできませんが、材料をそろえることはできます。私が実際にやったのは次の三つです。
同じ条件で写真を残す
場所と時間と明るさを固定して撮ります。これをやらないと、体調や照明の違いで印象が変わり、自分の記憶があてになりません。
洗面所で、夜、同じ位置。この程度の決めごとで十分でした。比べられる形にしておくことが目的だからです。
見えない場所は、人に撮ってもらう
つむじは自分では撮りにくい場所です。私は家族に頼みました。言い出すのに勇気が要りましたが、結果的にはこれがいちばん効きました。
誰にどう打ち明けるかで悩む方も多いと思います。その話は誰にどこまで話すかに別途まとめています。
抜け毛は本数より性質を見る
枕やお風呂の抜け毛を数えようとしたことがありますが、続きませんでしたし、日によって差がありすぎて意味を感じませんでした。
それより気になったのは、短くて細い毛が混じっているかどうかです。太く長い毛と、明らかに短く弱い毛では、印象が違います。ここは受診のときに伝える材料になりました。
薄毛に見える背景は、ひとつとは限らない
ここが自己判断のいちばん危ないところだと思っています。
髪が抜ける、あるいは薄く見える状態には、AGA以外の背景が関わっている場合があります。頭皮の炎症をともなうもの、体調や別の病気に関係するもの、服用している薬に関係するものなど、種類は一つではありません。
これらは対応の方向がそれぞれ違います。自分でAGAだと決めて市販のものを試し続けると、本来必要な対応が遅れる可能性があります。
私が対面のクリニックを選んだ理由のひとつも、ここでした。頭皮を直接見てもらいたかったのです。対面とオンラインの選び方はクリニックの比べ方に書きました。
診察で聞かれたこと
身構えて行きましたが、聞かれたのは拍子抜けするほど普通のことでした。おおよそ次のような内容です。
- いつごろから気になりはじめたか
- 血縁に似た経過の人がいるか
- これまでに試したことがあるか
- 持病や飲んでいる薬があるか
- どこがいちばん気になっているか
用意していった写真は、最初の質問に答えるときに役立ちました。「なんとなく去年くらいから」と言うより、記録があるほうが話が早く進みます。
そして最後の質問。自分がどこを気にしているのかを言葉にしておくと、話が具体的になります。私は準備していなかったので、その場で少し詰まりました。
セルフチェックで線を引くべきところ
ここまで書いておいて逆のことを言いますが、自分で調べる作業には限界があります。
鏡と写真で分かるのは見た目の変化までです。頭皮の状態、毛の太さの分布、他の要因の有無といった部分は、器具と知識がないと確かめられません。
だから私は、セルフチェックを「受診するかどうかを決めるための材料集め」までと割り切りました。判断そのものを自分でやろうとすると、いつまでも結論が出ないまま時間だけが過ぎます。
そして、これは費用編でも書いたことですが、迷っている時間そのものにも値打ちがあります。私の場合、調べる時間を延々と使うより、一度診てもらって答えを持ち帰るほうが早く落ち着きました。
年齢で線を引こうとして、余計に迷った
調べていた時期、私は年齢を言い訳の材料にしていました。
「まだ若いから気のせいだろう」と思う日と、「この年なら普通のことだ」と思う日が、交互に来ます。おかしな話ですが、どちらの理屈も、行動しない結論に着地します。
実際には、始まる時期にも進む速さにも個人差があるとされています。年齢は目安のひとつであって、判断の基準にはなりません。私が年齢で考えるのをやめたのは、この二つの言い訳が同居していることに気づいた日でした。
同じように、季節で説明しようとするのもよくやりました。秋は抜けやすいと聞けば、そのせいにできます。一時的な波と、続いている変化を切り分けるには、やはり記録が要ります。
髪型と照明という、二つのごまかし
自分の目があてにならない理由は、心理的なものだけではありません。物理的な条件も効いてきます。
光の向きで地肌の見え方が変わる
真上から強い光が当たる場所では、地肌が透けて見えやすくなります。逆に、やわらかい光の下では気にならないこともあります。
私はこれで一喜一憂していました。職場のトイレの鏡で落ち込み、家の洗面所で安心する。同じ頭なのに、光が違うだけです。
髪型が変化を隠してしまう
気になる部分を隠す髪型に、無意識に寄っていきます。分け目をずらす、前を下ろす、乾かし方を変える。隠れているあいだは、比べようがなくなります。
写真を撮るときに条件をそろえるのは、この二つを打ち消すためでもありました。同じ光、同じ髪型、同じ角度。地味ですが、これに勝る方法を私は知りません。
血縁の話をどう受け止めるか
診察でも聞かれましたし、調べていても必ず出てくるのが遺伝の話です。
受け止め方はふた通りあると思っています。ひとつは「親がそうだったから避けられない」とあきらめる方向。もうひとつは、起こりうることとして早めに構えておく方向です。
私は後者を選びました。あきらめる材料にすると何もしないまま時間が過ぎますが、心構えの材料にすると準備ができます。同じ情報でも、どちら向きに使うかで結果が変わる、という程度の話です。
ただし、血縁に似た経過の人がいないから自分は関係ない、とも言えません。ここも決めつけずに、材料のひとつとして医師に伝えるのがよいと感じています。
まとめ
- AGAは見た目の状態ではなく、特定の経過をたどる脱毛症を指す呼び名
- 変化はゆるやかで、毎日見ている本人ほど気づきにくい
- 説明される経過は前方から下がる形と頭頂から広がる形の二方向。両方が重なることもある
- 段階を示した図は、順位づけではなく医師と話を合わせるための道具として役立つ
- 記録は条件をそろえて残す。見えない位置は誰かの手を借りる
- 抜けた毛は数えるより、細く短いものが混ざっていないかに目を向けた
- 髪が減る背景は複数あり、自分で決めつけると必要な対応が遠回りになりかねない
- 自宅でできるのは材料集めまで。結論を出す作業は専門家に渡してよい
鏡の前の数分間を毎晩繰り返していたころに比べると、写真という記録を持って人に見せたあとのほうが、はるかに気持ちが軽くなりました。分からないままでいることが、いちばん重かったのだと思います。
なお、この記事は個人の体験と、自分で調べて整理した内容をまとめたものです。診断や効果、安全性について保証するものではありません。治療の判断は、必ず医師にご相談ください。
※通院の時間が取りにくい方へ。オンラインで診療を受けられるクリニックもあります。選択肢のひとつとして、比べる材料にしてください。(PR)